2010/08/10

google edition

昨日行ってきたGoogleエディション説明会@新大阪の個人的メモ。

Googleエディションの土台としてGoogleブックスがある。まずはそのGoogleブックスの説明から。

Googleブックスとは書籍の全てのページをデジタル画像化し、その画像からOCRをかけてテキストデータを拾いだす。そのテキストをもとに検索できるようにする。
ユーザー表示用にはページのデジタル画像を、検索にはテキストが使われるという仕組み。

書籍の提供(Google側からすると入手)方法には二通りある。
・パートナープログラム=出版社から提供
・ライブラリプロジェクト=図書館蔵書を提供(日本だと慶応大学など、アメリカ国外では著作権が切れたもののもい対象)

パートナープログラムに参加している出版社は全世界で3万社、200万タイトルが提供されている。アメリカではほぼ全ての出版社が参加している(例えばピアソン、シュプリンガーや、大学出版局など)。日本では400社強、4万冊といったところ。先日のブックフェア以降増加傾向にあるとのこと。

Googleブックスでは、表示できるページ(プレビュー)が1ヶ月20%に制限されている(のだが、参加者より80%ほど見えてしまっているとの苦情があり)。また、一部の内容はどんな場合にも表示されないようにしているとのこと。印刷、保存、コピーは不可だが、スクリーンショットでの保存はできる(OSレベルの機能は制限しようがないらしい)。出版社はいつでも書籍を追加・削除可能。

出版社からの書籍の提供方法は、PDFまたはEPUBか書籍本体1冊献本。Google側でそれをデジタル化する。書籍本体の場合は画像化→OCR。PDFの場合でも画像として扱い、OCRにかけるとのこと。また、OCR後のテキストデータの校正は一切に行われない。検索用に使用するという目的にはそれで十分な精度があるらしい。OCRエンジンは常にアップデートしており、定期的にOCRをかけ直して、テキストデータの精度を上げていくつもりらしい。

Googleブックスの使い方としてはGoogleブックスから直接検索する場合と、通常のGoogleの検索から飛んでくる場合があり、圧倒的に後者の方が多いらしい。画面設計として、左カラムが購入用や版元への外部リンク、メインカラムがページ画像となる。出版社には、詳細なデータやサマリーレポートがGoogleより書籍タイトルごとに提供される。

Googleエディションは簡単に言えば、Googleブックスはで20%しか見れないところを有料で100%すべて見せますよ、というもの。様々なデバイスでウェブブラウザを介して読む、という形態。一回購入すれば、どのデバイスでも読むことができる。ウェブブラウザ以外にiphoneアプリとしてブックリーダー的なものを提供していきたいと考えている。
ブラウザでの表示以外に、出版社側のオプションとして提供したPDFやEPUBといったファイルのダウンロードも可能。DRMをかけた形でダウンロードする。またHTML5では、ブラウザそのものにオフライン機能があるため、それを利用することもできる。
AmazonやiBookと違うのは、購入をどこでもできるようにするということ。例えば、Amazonからでも楽天ブックスからでも版元のサイトからでもGoogleブックスを購入できるようにする。

販売価格は版元の希望小売価格で、版元の取り分はその小売価格の51%以上。取り分の割合は提供タイトル数だったり提供方法(PDFか書籍本体か)だったりいろいろな条件で変わる様子。Googleエディションは電子書籍ということで、再販価格制度には縛られないものとGoogleは理解しており、販売価格は一定ではなく、市場動向により下がることもあり得るが、積極的にGoogle側でコントロールするつもりはない様子。

課金方法はGoogleチェックアウトが基本。自社サイトでの販売でもGoogleチェックアウトを利用できる。

開始時期は、まずアメリカでのこの夏。次にヨーロッパは秋。日本は年明けを予定している。

他には、
・クラウドブックスの場合、一つのアカウントで同時アクセスできるのではないか?という質問に対して、常識的に同時アクセス数が多い場合はスパムと見なし制限する、との回答。
・ファイルのダウンロードは回数制限を設定するかもしれない。
・スキャンできるのは今のところせいぜいA4サイズまで。大判は想定していない。また、紙質によっても対応できないケースがある。ただ、PDF提供ならその問題はない。
・プレビューの制限量は20%だが、もっと多くすることは出版社側でコントロールできる。統計的にはプレビュー量を多くした方がよく売れている。
・Google検索と一体化しているため、現在登録している200万タイトルのうち8〜9割は毎月誰かがプレビューを見ている。

他にも色々あったような気がするが。。。個人的には、プロモーションとしてGoogleブックスを使うのは全然ありかなぁ、と。
エディションまでいくとなると、同時アクセスあたりの問題が確実に解決されていないと提供しづらい。大学のゼミ等での少部数購入ってのが積み重なっているのが学術系テキストなわけで。
ユーザーとして考えると、iPadで専用アプリが出ればかなり使えそう。課金方法がどれくらいシンプルかつ安全かつ楽か、てのが気になる。
マーカー引いてそのデータを共有したりとかこのフレーズをツイッターで、みたいなソーシャルな機能はまったく想定していないようだ。そういう意味では、電子書籍推進者が一番批判しそうな形(テキストのコピーも出来ない、リフローも出来ない、紙の本の電子化以外の何ものでもない)の電子書籍と言える。
現在、プレビュー機能を紀伊国屋のBookwebに提供している模様。いずれブログパーツ的に一般ユーザーも使えるようになるのかもしれない(もちろん出版社の許可があってだとは思うが)。